周知のように、平成9年4月から中小企業にも40時間制が適用されます。労働省では、混乱を避けるために2年間の指導期間を設け、労働時間違反があっても直ちに摘発しないで行政指導に重点を置く方針のようです。ただし、この指導期間は従来の猶予期間とは意味合いが異なることはいうまでもありません。労働省は、「重大悪質な法違反については司法処分を行う」、と発表しています。
週40時間制の実施に関する基本事項は次の通りです。
@4月1日以降、全ての企業(例外はあります)は就業規則に、「1週間の所定労働時間は40時間とする」といった旨の規定を明記する必要がある。
A「変形労働時間制」を採用しない場合、1日8時間の所定労働時間であれば、週5日労働が上限となる。
仮に所定労働時間を週44時間のままにしておくと、超過した時間は自動的に時間外労働とみなされ、割増賃金の対象になるので、注意が必要です。
月給制の社員の場合、労働時間が減少したからといって、賃金を容易に引き下げることはできません。従来44時間制を採用していた会社の場合、時短に伴い時間単価では、10%程度の負担増になります。労働時間を減少させることができなかった場合は、時間外労働が発生しますので、25%の賃金割増を計算に入れると、企業負担はさらに大きくなります。
以上のことから、企業の負担を増加させないためには、実労働時間の短縮をはかることが重要です。そのためには、業務効率の向上や人員配置の適正化などが必要でしょう。その他では裁量労働制や変形労働時間制の採用が重要でしょう。
さて、平成9年3月まで実施されていた時短奨励金ですが、4月からは内容が変更されます。
その名も「中小企業労働時間制度改善助成金」です。詳しくはこちらを。