●解説

「中小企業の退職金の通算制度について」

労働省は、中小企業間で転職した場合に、退職金を引退時にまとめてうけとれる制度を98年度から設けることを発表しました。具体的には、「中小企業退職金共済」または「特定退職金共済」の共済制度に加入している場合、退職時に受け取れる退職金相当額を、新しい職場で加入する共済制度に一時金として支払うことができる、というものです。

この通算制度の目的は、転職率の高い中小企業労働者の老後の所得保障を強化することにあります。

退職金を引退時まで、共済制度で預かってくれるからといってもたいしてメリットはありませんよね。多少運用利回りが銀行に預けておくよりはいい程度です。でも、実は退職金にはたいへんな優遇税制があります。20年以上勤めていた場合はとくに有利になります。この制度を利用して退職金を通算した場合は、税金も繰り延べることができるようになるようです。この制度の導入により、転職の税制による不利益はなくなるといえます。

この制度の導入は日本版ビッグバン構想の一環なのでしょうか?アメリカには日本のように政府が保証する年金は存在しませんが、給料の一部を投資信託で運用し、それに対しては税金面で優遇されます。これが401Kプランと呼ばれています。日本の年金制度を徐々にアメリカ型に移行しようとしているのではないでしょうか。今回の通産制度は対象となるのが中小企業向けの共済制度だけですが、これを証券会社や生命保険会社の年金関連商品(たとえば養老保険)に対しても適用されれば、ほとんど401Kプランとそっくりになりますね。


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